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TOB予想銘柄ランキング【2022年】|親子上場解消を狙え!

三菱商事 株主 ローソン
太郎

2022年にTOBされそうな銘柄を知りたい

本記事では、そういったお悩みを解決していきます。

「投資家ドットコム」を運営する「ロニイ(Twitterはこちら)」と申します。

資産運用や投資信託が好きすぎて、投資初心者向けに資産運用ブログ「投資家ドットコム」を立ち上げました。

本記事では2022年上半期にTOBされそうな企業の銘柄を予想していきたいと思います。

株式投資で利益を出すには様々な方法があります。
もっとも一般的なのはS&P500などのインデックスファンドに投資をして長期的に利益を出す方法です。
一方で短期的な投資で利益を出す方法もあります。

昨年、NTTが子会社のNTTドコモをTOBしました。
そのときの株価の変化は下記のとおりです。

一撃で株価が40%以上も値上がりしていますね。

このように事前にTOBされそうな企業の銘柄に投資をしておけば、短期的に大きなリターンをあげることができます。

本記事ではTOBの基本から業界分析、2022年のTOBの動向まで徹底分析しています。
ぜひ最後まで読んでみてください。

※前半部分はTOBの基礎的な解説となっていますので、TOB予想銘柄ランキングを知りたい方は目次から「【2022年3月】TOB予想銘柄ランキング」に飛んでください。

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目次

TOBの基礎知識

TOBとは

TOBとは株式公開買い付けのことで、上場企業の株式をマーケット外で「株数」「期間」「買付価格」を決めて買い取る行為を指します。

買収側企業の多くは相手企業の経営権の獲得を目的としてTOBを実施します。
簡単にいうと、上場企業を割増価格で「買う」ということです。

「NTTドコモ」が「NTT」にTOBされたケースを例に考えてみましょう。

2020年9月29日、「NTT」は「NTTドコモ」にTOBを仕掛けると宣言しました。
「NTT」は以前から顧客離れが続く「NTTドコモ」に不信感を持っており、出資比率を66%から100%に引き上げて完全子会社化するためにTOBを実行しました。

買付価格は1株あたり3900円、前日の終値は2775円でした。
NTTがTOBを宣言した瞬間に、NTTドコモの理論上の価格は40%上昇したことになります。

実際、NTTドコモの株価は数日で3900円前後まで上昇しました。
NTTドコモの株主は株を持っているだけで40%もの値上がり益を手にしたことになります。
NTTドコモは個人投資家から人気のある銘柄でしたから、ツイッター上では悲喜こもごもの声がありました。

なぜなら、以前から通信業界に厳しい姿勢を打ち出していた菅氏が首相になったのが2020年9月16日だったからです。
菅政権の発足前からNTTドコモやKDDI、ソフトバンクの株価は下落し始めていました。そのためTOBの直前でNTTドコモ株を売却した個人投資家も少なくなかったのです。

TOB予想銘柄への投資はいつ結果が出るのか分かりません。

3年リサーチして購入しようと決めていた銘柄が購入直前にTOBされることもあります。

一方で購入したTOB予想銘柄がいつまで経ってもTOBされないこともあるでしょう。

TOB予想銘柄への投資はTOBされる可能性だけでなく、企業の実力にも注意して投資をしていくべきだと考えています。

会社もモノやサービスと同じで価値があるから買われるということを忘れてはいけません。

なぜTOBを実施する企業はプレミアムを支払う?

ここでひとつの疑問が浮かびます。
なぜ、NTTのようなTOBをする側の企業は40%も追加で資金を出すのでしょうか。
買付価格からTOB前の株価を引いた額を投資用語でプレミアムといいます

NTTのようなTOBをする側の企業が40%ものプレミアムをつける理由は、確実にTOBを成功させたいからです。

TOBには期限が決められており、期限内にできるだけ多くの株式を集めなければいけません。

プレミアムをケチるとTOBに賛同しない株主が現れるためです。

具体例をみていきましょう。

複写機大手の富士フィルムHDは、ゼロックスという米国の複写機メーカーと共同で富士ゼロックスという合弁企業を設立していました。

出資比率は富士フィルムHD側が75%、ゼロックス側が25%と富士フィルムHDが主導権を握っていました。

そのうえで富士フィルムHDはさらなる成長のためにゼロックス本体を子会社化しようと買収に出ます。

しかし、富士フィルムHD側が提案した価格とゼロックス側の大株主が要求する価格が擦り合わせられず買収は失敗します。

アメリカ企業は株主に忠実ですから、ゼロックスのCEO(最高経営責任者)は「買収再交渉は妄想だ」と富士フィルムHD側の提案を一蹴しました。

ゼロックスの例を見ても分かるように、TOBを仕掛ける企業はプレミアムを十分に積み上げなければならないのです。

そのほかにも上場企業の株式を買い進めると、買収したい企業の株価が急に値上がりすることがあります。

そうしたリスクを避けるためにもプレミアムは必要不可欠といえるでしょう。

親子上場の解消が進んでいる理由

親子上場とは親会社と子会社が同時に上場している状態のことを指します。

有名な例でいくと「ソフトバンクグループとソフトバンク」「日本郵政とゆうちょ銀行」「トヨタ自動車と日野自動車」などがあります。

親子上場のメリットとしては、子会社も上場させることで多様な資金調達を可能にする点と子会社の信用力が向上する点があります。

そもそも上場は資金調達をするためにします。

例えば、ソフトバンクグループが財務の良好なソフトバンクを上場させることで、これまでソフトバンクグループに投資をしてこなかった投資家から資金を集められるようになります。

また子会社の社員が安く住宅ローンを借り入れることができたり、就活生に「上場企業」とアピールすることができます。

そのため、かつての日立製作所は22社もの子会社を上場させていました。

しかし、2010年代に経営陣が経営効率化に取り組み、2022年には「日立建機」「日立金属」の2社を残して日立本体に取り込まれたり、他社に売却されたりしました。

日立製作所以外の上場企業でも親子上場を解消する流れは続いています。
最大の理由は株主からコーポレートガバナンスの強化が求められ始めたためです。
コーポレートガバナンスとは企業の持ち主である株主の利益の最大化を実現できているか監督する仕組みのことです。

三菱商事とローソンの関係を例に考えてみましょう。
三菱商事とローソンはともに上場企業であり、三菱商事はローソンに50.1%出資しています。
つまり、三菱商事が上場親会社、ローソンが上場子会社ということになります。

ここで非常に大きな問題が発生します。
三菱商事は三菱食品を通じて年間7000億円前後の食品を販売しているのです。
三菱食品も三菱商事の上場子会社です。
三菱商事の出資比率は60.93%となっています。

三菱商事は三菱食品を通じてより安い価格で、より多くの食品を販売したいという思惑があります。
そこでローソンが要求を受け入れると一般株主の利益を損ねることになります。
つまり、三菱商事が株主としての立場を悪用し、都合のよい取引をローソンに強いているのでは?という疑惑がでてくるのです。

コーポレートガバナンスとは株主利益の最大化を求める仕組みですから、親子上場の維持と株主利益の最大化は相反すると考えられています。
その一方、ビジネスの世界では複雑な利害関係が入り組んでいるために、そう簡単には親子上場の解消が進まないこともあります。
日本郵政を例に見ていきましょう。

全国で郵便局などを運営する日本郵政には「日本郵便」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」という3つの主要子会社があります。
それぞれの子会社に100%,90%,65%の出資をしており「日本郵政とゆうちょ銀行」「日本郵政とかんぽ生命」は親子上場の関係にあります。

なぜ、このような複雑な資本関係にあるのでしょうか?

最大の理由はもともと日本郵政に日本政府が出資しており、日本郵政を高値で完全民営化したい政府が「稼ぐ力」を持つ銀行事業と保険事業のみを親子上場させたからです。

日本郵便は全国の郵便局を維持したり、国民にとってリーズナブルな物流事業を実現したりする必要があります。
そのため、日本郵便のみでは利益を出しにくくなっています。

親子上場は解消される流れにあると述べましたが、企業の事情で親子上場を解消できないケースも少なくないのです。

TOBの流れ

買収側企業が「株数」「期間」「買付価格」を決めてTOBを宣言すると、TOBを仕掛けられた企業の株主はTOBに応募するか求められます。

このときプレミアムが安すぎたり、ほかの企業(ホワイトナイト)が追加のTOBを仕掛けると判断した場合には、TOBに応募しないという選択肢もあります。

応募は証券会社を通じて行われます。

自分が利用している証券会社と買収側企業が利用している証券会社(公開買付代理人)が同じでない場合、株式を移管する必要があります。

まともな証券会社であれば連絡がきて対応してくれるので心配する必要はありません。

TOB期間が過ぎると、買収側企業はTOBの成否を公表します。

稀に失敗することもあるのですが、失敗してもTOBの継続を続ける買収側企業が多いです。

TOB期間が終了すると、保有していた株式が現金化され証券口座に残ります。

友好的買収と敵対的買収

TOBには友好的買収と敵対的買収があります。
「NTT-NTTドコモ」のTOBは友好的買収でした。

友好的買収とは、買収先企業の承認を得たうえで実施される買収のことで、対立を嫌う日本企業の多くが友好的買収によりTOBをします。
友好的買収にはTOBのほかにも株式交換や事業譲渡といった様々な買収方法が存在します。

一方で敵対的買収では買収先の意向に関わらず既存の株主から株式を集めて企業を買収します。
最近の例でいくと、伊藤忠商事が衣料品大手のデサントの株式を10%ほどTOBしました。
このケースでは完全子会社化せずに40%の出資比率を保ち、TOB後には伊藤忠商事からデサントに社長が派遣されるようになりました。

敵対的なTOBを仕掛けられた際、自社を防衛するため友好的に買収してくれる別の企業を募集することもあります。
友好的に買収してくれる企業のことをホワイトナイトと言います。具体例をみておきましょう。

2019年7月、旅行大手のHISは不動産大手のユニゾHDへのTOBを宣言します。2019年6月末のユニゾHDの株価は1844円に対し、HISの買付価格は3100円と70%近いプレミアムをつけてのTOBでした。
しかし、2019年8月にソフトバンクグループ系の資産運用大手フォートレス・インベストメント・グループが1株4000円での友好的買収を実施すると発表します。
さらに米系投資ファンドのブラックストーン・グループが買付価格を上げてのTOBを宣言し、ユニゾHDの株価は急騰しました。

最終的にはユニゾHDの従業員と投資ファンドのローンスターが買付価格6000円でTOBしました。
結果として、ユニゾHDの既存株主は225%もの株価上昇の恩恵を受けることになりました。

アメリカなどでは敵対的買収も一般的で、TOB関連のビジネスも非常に活発です。
そのため、アメリカのビジネスモデルを参考に日本でも敵対的買収が増加することが予想されています。

2020年のTOBや親子上場解消の情勢を分析

2020年の大型TOBを振り返っておきます。
NTTによるNTTドコモへのTOBは、日本の株式史上最大の買付総額となりました。
ほかのTOBされた銘柄と比較するとその差は一目瞭然でしょう。

スクロールできます
TOBを仕掛けた企業TOBされた銘柄買付総額
NTT(日本電信電話)NTTドコモ3兆1785億円
昭和電工日立化成8445億円
日立製作所日立ハイテク4271億円
ソニー(ソニーグループ)ソニーフィナンシャルHD3215億円
伊藤忠商事ファミリーマート1817億円
ニトリHD島忠1650億円
ソフトバンクLINE1591億円
本田技研工業ショーワ1024億円
本田技研工業ケーヒン1004億円
前田建設工業前田道路861億円

2020年に実施された大型TOBの特徴を一言で述べると「日立製作所関連の銘柄が次々とTOBされた」ということになります。
日立化成を昭和電工へ、日立ハイテクを日立製作所内に取りこんだのみならず、ショーワやケーヒンへのTOBにも日立製作所が関わっています。

2020年9月にホンダ系の部品サプライヤー「ショーワ」「ケーヒン」「日信工業」の3社に対し、親会社の本田技研工業(ホンダ)がTOBを実施すると発表しました。
そして、統合した3社と日立製作所系の自動車部品メーカー「日立オートモティブシステムズ」を統合させ「日立Astemo(アステモ)」という新会社を設立することになったのです。

「日立Astemo(アステモ)」へは日立が66.6%、ホンダが33.4%出資しました。
つまり「ショーワ」「ケーヒン」「日信工業」へのTOBは日立製作所主導のもと行われたことになります。

2022年3月10日現在、日立製作所の上場子会社は「日立建機」「日立金属」の2社のみとなりました。
日立建機については、日立製作所が出資比率を50.1%から25%前後まで下げるという発表がありました。
日立金属についても日立製作所が複数のファンドと交渉しているため、日立金属がTOBされる日もそう遠くないと予想されます。

2020年は大型TOBが続々と実施されましたが、2022年もその流れが続くのでしょうか?

それでは【2022年3月】TOB予想銘柄ランキングを見ていきましょう。

【2022年3月】TOB予想銘柄ランキング

TOBされる銘柄を予想するのは簡単な話ではありません。
買収側企業の思惑、TOBの成功確率、TOBされる企業がもつ技術や資産、株式の割安度など様々な指標を元に考える必要があるでしょう。
そこで本記事のTOB予想銘柄ランキングでは、買収側企業の思惑を重視して分析を進めました。
各銘柄についての詳細はご自分で調べるのがベストだと考えています。
あくまでひとつの指標としてご利用頂けると幸いです。

【10位】キャノン電子(7739)

キヤノン電子はキヤノンの上場子会社であり、キヤノンが53.31%を出資しています。

ここ10年で電機業界を中心に親子上場の解消が進んできましたが、カメラ業界・プリンター業界では再編が遅々として進んでいません。
オリンパスが2020年にカメラ事業から撤退したくらいでしょう。
コロナ禍の長期化でカメラ事業・プリンター事業の将来性に暗雲が垂れるなか、キヤノンは何らかの手を打ってくると考えられています。
2016年には東芝メディカルズを6655億円で買収し「3本目の柱」を打ち立てました。

キヤノンの御手洗会長は「キヤノン電子と合併するつもりはない」と述べていますが、キヤノン電子とキヤノンの事業内容を比較すれば、キヤノン電子を完全子会社化するメリットはあります。

医療機器事業が加わったとはいえキヤノンの事業は成長の見込みが乏しいカメラ・プリンター事業が主力となっています。
一方でキヤノン電子は宇宙関連事業、FA(ファクトリーオートメーション)事業、IT・ソリューション事業といった成長事業を多く抱えています。
皮肉なことにオフィス文書の電子化を行うスキャナーを製造しているのもキヤノン電子です。

大胆な決断をしてきた御手洗会長の在任中に何らかの再編があるのではないかと考えています。
ただし、キヤノンの御手洗会長はが両社の合併を否定的に捉えているため第10位としました。

【9位】SCSK(9719)

SCSKは総合商社の住友商事が50.64%を出資するSIer(システム・インテグレーター)です。
脱炭素化が進んだ2020年、総合商社各社は厳しい対応を求められ始めました。
具体的には石炭火力発電所プロジェクトからの撤退を決めたり、発電用石炭権益を売却したりした商社もでてきており、脱炭素の動きを強めています。

住友商事は総合商社業界のなかでも非資源事業が強いことで有名です。
スーパー大手のサミットやケーブルテレビ大手のジュピターテレコムなどに出資をしており、三菱商事などの資源事業が強い商社よりは脱炭素化のダメージを受けていません。

三菱商事ほどではありませんが、住友商事も世界中に資源権益を保有しており、どのように持続した利益を出していくかが大きな課題となっています。

2020年はITサービスが大きく見直された年でもありました。
日本政府も電子化に取り組むためにSIer各社に協力を求めてデジタル庁をつくる予定であり、2022年もDX(デジタル・トランスフォーメーション)の流れは止まらないでしょう。
2022年3月現在、SCSKのPERは20前後とそこまで高くありませんが、SCSKの時価総額の大きさを考慮して第9位としました。

【8位】川崎汽船(9107)

川崎汽船は上場企業の子会社ではありませんが、業界再編に伴いTOBを仕掛けられる可能性があります。
海運業界は2000年代より「日本郵船」「商船三井」「川崎汽船」の3社に集約されており、すでに通信業界のような寡占状態にあるといえるでしょう。
しかし日本の海運会社は世界中にライバルがおり長期間に渡って熾烈な競争が続いてきました。

海運大手各社はこの10年で1000億円規模の赤字を出す年もあり、再編のフェーズに入ってきました。
2017年には各社のコンテナ船事業を集約して「ONE(Ocean Network Express)」を設立します。
また2015年以降、旧村上ファンド系の社員が立ち上げた「エフィッシモ・キャピタル・マネージメント」が大株主となり川崎汽船の経営陣に圧力をかけ続けてきました。
2020年3月時点で「エフィッシモ・キャピタル・マネージメント」は川崎汽船の株式の38.99%を保有していると発表しており、社外取締役まで送り込んでいます。

業界全体で収益が出しにくい構造となっており、再編の可能性が高いことから川崎汽船を第8位としました。
ただし、20年以上「大手3社体制」が続いてきたため統合にハードルがあることを理解しておくべきでしょう。

【7位】日鉄ソリューションズ(2327)

日鉄ソリューションズは日本製鉄が61.28%を出資するSIerです。
関係性としては「住友商事=SCSK」に似ており、親子上場の状態が続いています。
日鉄ソリューションズは9年連続で増収増益を続けているおり株価も10年で5倍近く上昇しているため、成長企業といえるでしょう。
また日本製鉄の子会社でありながら、日鉄ソリューションズの日本製鉄向け売上は20%に留まっています。

ここ数年、鉄鋼業界は構造不況に直面しています。
構造不況とは不況の原因が、景気サイクルによるものではなく産業構造や需要構造にある不況のことを指します。
鉄鋼業界に当てはめると、世界中で高炉や電炉を立てすぎたために生産過剰となりました。

日本製鉄は売上高の86%を製鉄事業に頼ってきたため、2020年3月期には2800億円の事業赤字を計上しました。
2022年3月期も1200億円の赤字を計上する予定で、製鉄事業以外の収益源を確保したいのが本音でしょう。

こうした背景から日本製鉄が利益率の高い日鉄ソリューションズをTOBする合理性があります。
ただし、日本製鉄に日鉄ソリューションズを買収する負担が大きいと判断し、第6位としました。

【6位】三菱UFJリース(8593)

三菱UFJリースは三菱商事が20%,三菱UFJフィナンシャルグループ(FG)が22.69%を出資する大手リース会社です。
※三菱UFJFG分については完全子会社の三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行が保有する株式も含める。

リース業界では再編の火種が山のようにあります。
3つのメガバンクグループは2社以上のリース会社を抱えていますし、総合商社の多くもリース会社に出資しています。
業界大手で複雑な資本関係を持たないのはオリックスとNTTの子会社であるNTTファイナンスくらいでしょう。

三菱UFJリースは2020年に日立キャピタルと株式交換により合併すると発表し、2022年4月には三菱UFJリースを存続会社として合併する予定です。
株式交換とは、買収される企業の株主が保有する株式(上記の例だと日立キャピタルの株式)と買収側企業の株式(三菱UFJリースの株式)を交換することで、企業を買収するやり方です。

三菱商事はエネルギー投資、三菱商事は銀行業務というように、収益性が低くなると予想される事業を主力事業としています。
三菱UFJリースは連続高配当株としてでも有名で、事業のリスクの振れ幅が小さいため両社のリスクを分散させるためにもTOBをされる可能性は高いと考えています。

もし、僕が三菱商事か三菱UFJFGの社長ならば、買収の最右翼候補として三菱UFJリースを挙げるでしょう。

【5位】神戸製鋼(5406)

神戸製鋼は日本製鉄から出資を受けているものも、出資比率は3%未満であるため独立した企業といえます。

過去10年の業界再編の流れをみると神戸製鋼へのTOBの可能性は非常に高いと考えています。
2002年にJFEスチールが合併で誕生して以降、鉄鋼業界の序列は「新日本製鐵(現在の日本製鉄)」「JFEスチール」「神戸製鋼」「住友金属工業」「日新製鋼」の順で固まっていました。
しかし、2012年に新日本製鐵が住友金属工業を株式交換で買収し、2017年にはTOBで日新製鋼も買収します。2022年2月には東京製綱の出資比率を9.91%から19.91%に引き上げるために敵対的TOBを実施しました。

東京製綱への敵対的TOBについては、日本製鉄が東京製綱の原料の供給元となっているため非難の声も小さくありません。
ただ別の見方をすると2800億円の赤字を出してもTOBができるほど日本製鉄は現金余力があるということです。
かつての財界の雄「日本製鉄」が次はどのような買収に出るのか注目されています。

日本製鉄のみならず、JFEスチールも神戸製鋼をTOBする可能性があると言われています。
JFEスチールの持ち株会社「JFEホールディングス」の寺畑社長は2020年に「神戸製鋼との再編の可能性はある」と述べています。
過去の業界再編の歴史に加え、買収を検討する企業が2社あることから第5位としました。

【4位】東京センチュリー(8439)

東京センチュリーは伊藤忠商事が30.07%を出資するリース会社です。
もともとは「芙蓉総合リース」「みずほリース」とともにみずほFGの影響力が強い会社でしたが、みずほFGの業績低迷により伊藤忠商事が東京センチュリーへの関与を強めます。
従来型のリース業からの脱却するために、太陽光発電やロボットのリース、LCC大手「ジェットスター・ジャパン」への出資などを実行してきました。

その成果もあり、10年間で株価は6倍近く上昇し、伊藤忠グループの主要子会社となっています。
伊藤忠商事はここ数年で三菱商事と商社業界の首位を競っています。
その原動力となったのは対消費者ビジネスに加えて東京センチュリーの存在も大きかったようです。

伊藤忠商事は2019年7月、コンビニ大手「ファミリーマート」に対してTOBを実施し完全子会社化しました。
買付総額は6000億円でした。
中国の国有投資会社である中信集団にも6000億円出資しています。

伊藤忠商事は大型買収・出資を繰り返しており、株高を背景に2022年も大規模な買収があるのではないかと考えています。

その候補はいくつかありますが、日本国内であれば「新しい銀行」とも呼ばれている東京センチュリーを狙うのではないかと推測しています。

【3位】東芝テック(6588)

東芝テックは東芝が52.43%出資する上場子会社です。
東芝テックはPOSレジで世界シェア1位を取っており、ビッグデータの重要性が高まっている現代において多くの企業が欲しい情報を握っています。
POSレジは一般のレジと異なり、販売情報を管理したシステムを搭載しています。

世界をみると世界最大売上高を誇るスーパー「ウォルマート」、国内ではコンビニ大手「セブンイレブン」にPOSレジを導入しており、東芝テック内に蓄積されたデータはかなりの価値があるといっていいでしょう。

東芝は2019年、親子上場していた子会社「東芝プラントシステム」「ニューフレアテクノロジー」「西芝電機」の3社をTOBで完全子会社化しました。
一方で「東芝テック」に対してTOBは実施されず、いまだ親子上場は解消されていません。
かつてのライバル「日立製作所」がすべての上場子会社との親子上場解消を目前に控えた前で、東芝テックの上場継続には社内外から疑問の声がでています。

東芝テック内に蓄積されたデータに加え、重電メーカーが親子上場解消を続々と解消している流れを考慮し第3位としました。

【2位】ローソン(2651)

ローソンは三菱商事が50.12%の出資をする言わずと知れたコンビニ大手です。
昨年、コンビニ業界では伊藤忠商事が傘下のファミリーマートをTOBで完全子会社化しました。

脱炭素化が進むなか、三菱商事は逆風にさらされています。
資源ビジネスの主力である石炭事業が世界中から悪者扱いされるようになり、ベトナムで計画していた石炭火力発電所からも撤退しました。
総合商社首位を守ってきた三菱商事ですが、伊藤忠商事の猛追により2022年3月期の決算では首位を明け渡すと予想されています。

資源事業がうまくいかないのであれば、非資源事業に注力する必要性があると考えるのは当然でしょう。
三菱商事もほかの総合商社と同じように多くの非資源事業を営んでいます。その非資源事業の軸はやはりローソンしかありません。
前述したように、三菱商事の子会社・三菱食品は年間7000億円前後の食品をローソンに販売しています。
つまりローソンの売上高を伸ばすことができれば、グループ全体として売上高を伸ばすことが可能となります。

プライドが高いとされる三菱商事が業界2位に甘んじる可能性は低く、三菱商事の構造改革を進めるというニーズにも一致していることから第2位としました。

【1位】日立金属(5486)

1位は本記事で何度も取り上げている日立金属です。
2022年3月時点ですでに売却交渉が進んでいます。売却先候補として挙がっているのは下記の5ファンドです。

  • ペインキャピタル(米国)
  • カーライル・グループ(米国)
  • KKR(韓国)
  • 日本産業パートナーズ
  • 産業革新投資機構

売却先の候補に事業会社はありませんので、買収企業は日立金属の株主価値をあげた後に売却すると予想されています。
売却報道を受けて日立金属の株価は年初来より16%、日立製作所の株価は30%近く上昇しています
※2022年3月11日の終値

日立製作所はITと親和性の高い事業に経営資源を投入すると決めており、上場子会社の再編は最終段階に来ています。
売却先の候補として日本の上場企業が挙がっていないため、いずれかのファンドが完全子会社化するのであればTOBを実施する必要があります。
KKRは日立工機や日立国際電気を買収しており、日立関連の買収においては経験豊富といえます。
ほかのファンドも日立製作所が保有する日立金属の株式を購入後、TOBで完全子会社化するでしょう。

そのため、2022年のTOB予想銘柄第1位は日立建機としました。
ただし日立金属がTOBされる可能性が高いことは周知の事実であり、大きな利益を得ることは難しいかもしれません。

※2022年4月28日に「ベインキャピタル」が「日立金属」を1株2181円でTOBすると宣言しました。

また記事執筆日以降、2か月で「日立金属」株は20%以上値上がりしたため、大きな利益を得ることはできないという予想は外れました。

企業買収についてさらに知りたい方は、小説「ハゲタカ」シリーズを読んでみるといいかもしれません。

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まとめ

「【2022年3月最新】TOB予想銘柄ランキング|親子上場解消を狙え!」を読んでいただきありがとうございます。
2020年は敵対的買収が次々と行われ棚にぼた餅の利益を得た方も少なくないかと思います。

念のため申し上げておきますが、本記事は筆者の投資経験とデータに基づく予測・分析であり、TOBが必ず実施されるわけではありません。

※1位の「日立金属」に対してはTOBが実施される予定が決まりました。

2022年の展望としては、商社系によるTOBがいくつか行われるのではないかと予想しています。
特に伊藤忠商事は積極的に買収を行ってきた経緯があり、伊藤忠グループ系の上場子会社はウォッチしておくべきでしょう。
またリース会社も再編が進んでおり注意が必要です。

ぜひ、この記事を「投資の儲けのネタ」にするだけなく、業界や日本経済全体の勉強に繋げていただけると幸いです。

ローソンや東京センチュリーの株式を単元株で購入しようとすると50万円以上の資金が必要となります。
1万円未満でTOB予想銘柄をご購入されたい方はLINE証券で未単元株投資に挑戦してみてください。

「日立金属」株であれば2000円前後から投資可能でした。

口座の開設は約3分で完了します。

「LINE証券」のデメリット/メリットを知りたい方は次の記事も参考にしてみてください。

Twitterではよりタイムリーな内容を発信していますので参考にしてみてください。

三菱商事 株主 ローソン

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