
PayPay証券は本当に儲かるの?

スマホから1,000円で投資できるって本当?
PayPay証券で利益を出すことは可能。1,000円からでも投資できる。ただしレバレッジを掛けた投資は避けよう。
「PayPay証券」は日本初のスマホ証券として誕生し、1,000円から米国株に投資できるというイノベーションをもたらしました。
一方で資産運用は常に利益を出せるものでもなく、「負の側面」を持ち合わせています。投資元本を失うばかりか借金を背負う可能性まであります。
そこで今回は「PayPay証券」で実際に儲けることができるのか?長期的な観点で解説していきたいと思います。短期売買はほとんどギャンブルに近いので、やめておきましょう。
それでは、さっそく見ていきたいと思います。
PayPay証券とは
「PayPay証券」は通信キャリアの「ソフトバンク」と大手金融グループの「みずほフィナンシャルグループ」の子会社として設立されました。
1,000円から投資できることで有名であり、かつては「ワンタップバイ」という名前でしたが、2021年2月に「PayPay証券」へと名称を変更します。
その特徴をまとめると
- 1,000円から日本株/米国株に投資できる(日本で唯一)
- 取扱商品が少ない
- 銀行口座に資金を置いたまま日米株が買える
というようになります。
まず、日本株/米国株に1,000円から投資できる証券会社は「PayPay証券」以外にありません。これまで日本の証券会社で株式を購入しようと考えると、数十万円~数百万円の資金が必要でした。
具体例を見ていきましょう。
例えば、「Amazon」の株価は2021年5月現在、3,200ドルとなっています。ドル円の為替レートは1ドル=110円程度ですから、「Amazon」株を購入するには40万円近くの資金が必要です。
40万円の資金を1つの銘柄に投資できる余裕はなかなか無いでしょう。
このように日本で米国に投資するのであれば、米国株が組み込まれた投資信託を買うか、売買単価の高い銘柄を買う必要がありました。

さすがに1銘柄に40万円投資する勇気はないや…
そこで「PayPay証券」では1,000円から日米株に投資できるアプリを開発したのです。
ただ「PayPay証券」が完璧なネット証券というわけではありません。「PayPay証券」から投資できる銘柄は数に限りがあります。
証券会社名 | 銘柄数 |
---|---|
SBI証券 | 4,000銘柄 |
楽天証券 | 3,600銘柄 |
PayPay証券 | 137銘柄 |
また投資信託の取扱いが無いというデメリットもあり、幅広い金融商品に投資したい方は「PayPay証券」よりも「SBI証券」などを選んだほうがいいでしょう。
「PayPay証券」は投資信託に似た海外ETFも取り扱っているため、海外の金融商品に抵抗が無い方であれば大きな問題ではないでしょう。
PayPay証券で儲けることはできるのか?
ここからは本記事の本題である「PayPay証券は儲かるのか」について解説していきたいと思います。
その前にあなたは投資に対して、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
- 短期(1日や数か月)で大儲けする
- 失敗すると全財産を失って破綻する
- 人生逆転のためにするもの

そんな考えはもう時代遅れです!
本来の投資とは、ゆっくり長期的に財産を増やしていくことです。
具体的には
- 20~30年(場合によってはさらに長期)
- リスク(失敗する可能性)を最低限に抑える
- 人生逆転ではなく、人生を安定させるためにする
この3点を心がけて資産運用をすることをオススメします。
私は資産運用のアドバイスを先輩や友人、家族にする機会も多いです。
そして、日本人の多くが資産運用=ギャンブルという認識を持っており、投資をするのは危険であるという認識を持っているのも理解しています。
確かにギャンブル的な投機(FXやバイナリーオプション、仮想通貨など)で大儲けをする人もいます。逆に大損して人生を狂わす人もいるでしょう。
そこで「汗水流さず儲けるのは悪いことだ」「投資は怖くて近寄りがたいものだ」というイメージが出来上がる訳です。
少し話は脱線しましたが、長期的な資産運用のリターンは5~7%だといわれています(株式型インデックスファンドに投資した場合)。そのため、「PayPay証券」を利用して本当に儲けようと考えるなら「長期思考」が重要となってきます。
年収を100万円上げようと考えると、数か月の努力ではどうにもならないことが多いですよね?
金融庁のシミュレーションを基に考えてみましょう。

図を見て分かるように、毎月3万円を投資に回して王道の投資方法である「インデックス投資」に注ぎ込み続けると30年後には3,500万円以上の資産形成が可能となります。

毎月5万円であれば約6,000万円の資産を築けるでしょう。 もちろん、シミュレーション通りに増え続けるわけではなく、一時的に資産が減少することもあります。
ただ、過去の経済学の研究と実績をみると7%というリターンは高いわけではありません。アメリカの代表的な株価指数であるS&P500は過去40年間で30倍、NASDAQに至っては60倍に増えました。
世界の経済大国であるアメリカでは金融資産に投資する世帯としない世帯で大きな格差が生じています。そして、日本でも新型コロナウイルスの感染拡大に伴い生活に苦しむ人々がいる一方で、富裕層や投資家は金融緩和(日本円を大量に発行する政策)により大儲けしているのです。
過去1年間で米国の代表的な株価指数であるS&P500は38.50%上昇していることが分かりますね。
お金を持っているから、仕事をせずにダラダラ投資をしている
それだけで生活に困ることもなく、逆に富裕層はお金を増やし続けているのです。
具体的なエピソードを紹介しましょう。
ある友人の社長は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い地元金融機関から無利子/無担保で資金を借り入れることができました。しかし、コロナ禍で需要が無いため投資信託を購入し、値上がりした後に売却して数千万円の利益を得たそうです。
このように富裕層と一般人の経済格差は開いてきたのです。

資産運用をしない日本人は更に貧しくなっていくことは理解していただけたでしょうか?
長期で資産形成をするためにも、「PayPay証券」で投資を始めてみてください。
PayPay証券で儲けるために買うべきファンド3選
ここまでは日本人の投資に対する誤解と資産運用を長期でする重要性について解説してきました。
それでは、実際に「PayPay証券」でどの商品を買えば長期的に儲けることができるのでしょうか?「投資家ドットコム」では過去のデータから長期的に儲かる可能性が高い金融商品3つをピックアップしました。
- VTI
- VIG
- SPY
VTI、VIG、SPYはいずれもアメリカの上場企業に投資するETF(上場投資信託)です。特にSPYは過去28年間で9倍以上値上がりしており、中長期的な成長が見込めるETFとなっています。
VTI、VIG、SPYは短期でハイリスク・ハイリターンの大儲けを狙うのではなく、中長期で着実な儲けを得るETFです。
それぞれ何が違うのか? さっそく見ていきましょう。
VTI(Vanguard Total Stock Market ETF)
運用会社 | バンガード |
経費率 | 0.03% |
投資先 | 米国企業3500社 |
純資産額 | 約9,000万ドル(日本円で約99兆円) |
VTIは米国企業3,500社に投資する世界的に人気のあるETFです。
最大の特徴は経費率の安さと純資産総額の大きさでしょう。
顧客からVTIを通して預かっている資金の合計は約9,000億ドルとなっており、日本の2019年度の国家予算(101兆4564億円)とほとんど変わりません。

VTIで国買えるやん…
なぜVTIがここまで資金を集めているのか、疑問に思われる方もいるでしょう。
その理由はVTIを運用する「バンガード」社が徹底した低コスト運用を行っているからです。「バンガード」は世界で初めてインデックスファンドを作った会社としても知られています。
インデックスファンドとは、投資のリターンが特定のマーケットに依存するように設計された金融商品で、人為的な判断を無くしてマーケット全体の値動きに合わせて長期的な儲けを出すファンドのことです。
※正確にはVTIはインデックスファンドではなく、インデックス型のETF
通常、投資信託などに資金を預けるとファンド・マネージャーの裁量の下で「トヨタ自動車に○○%」「Appleに○○%」というように資産を配分します。
このようなファンドのことをアクティブファンドといいます。
しかし、VTIのようなインデックス型のETFやインデックスファンドは世界や米国、日本にある株価指数などの値動きに沿うように自動的に資産を配分するのです。
そうすることにより、高給取りのファンド・マネージャーを雇う必要がありませんから低コストで顧客の資産を増やすことができます。
ここで重要なのはインデックスファンドをアクティブファンド、どちらがより多くの儲けを出すのか?ということですよね。
2016年に金融庁が発行したレポートによると、各国のアクティブファンドの勝率は次の通りです。
国名 | アクティブファンドの勝率 |
---|---|
アメリカ | 8.1% |
オーストラリア | 32.8% |
カナダ | 34.3% |
ヨーロッパ | 19.4% |
インド | 43.5% |
ブラジル | 43.4% |
チリ | 0.0% |
メキシコ | 18.4% |
南アフリカ | 25.4% |
アクティブファンドの勝率が50%を下回っているということは、インデックスファンドに投資した方がリターンが大きかったという意味になります。
特に米国市場はマーケットの効率性が高いため、インデックスファンドがアクティブファンドよりも高い儲けを出すのは非常に難しいと言われています。
もちろん、個々のアクティブファンドを見るとひふみ投信のような優れたファンドもあるため、必ずしもインデックスファンドが万能と言い切るのは難しいですが、投資初心者にはインデックスファンドがオススメです。
その中でもVTIは、世界一の軍事力と経済力を持つ米国の企業3500社に経費率0.03%から分散投資をすることができます。 ぜひVTIへの投資を考えてみて下さい。
SPY
運用会社 | ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ |
経費率 | 0.0945% |
投資先 | S&P500(米国の主要企業) |
純資産額 | 約2500万ドル(日本円で約28兆円) |
SPYは米国のS&P500という株価指数に投資するETFです。VTIが米国企業3500社に投資しているのに対し、SPYはS&P500という株価指数に投資します。
S&P500は米国でも選び抜かれたスーパースター500社であり、VTIと同じく世界的な人気を誇っています。
ここで多くの方がVTIとSPYのどちらに投資をすればいいのか悩むそうですが、結論から言うとどちらでもいいです。
VTIとSPYの大きな違いは米国の中小企業に投資するかどうかなので、時価総額(企業価値)が小さい中小企業を組入れることにより、リターンが大きく上がる訳ではありません。
ただ一般的には中小型株にも投資するVTIの方が長期的なリターンは高いと言われています。
一方で短期的なリスク(価格の振れ幅)を見るとSPYよりもVTIの方が大きいため、個人投資家によって好みが変わってくるのです。
個人的には分散を効かせたVTIをオススメしますが、価格の振れ幅を抑えたい方はSPYに投資するといいでしょう。
VIG
運用会社 | バンガード |
経費率 | 0.06% |
投資先 | 米国の増配株 |
純資産総額 | 約328ドル(約3.6兆円) |
増配株という名前を聞いたことがあるでしょうか?
増配株とは、企業が1年に数回出す配当を連続で増やし続けている企業のことで、日本なら「花王」、米国なら「コカ・コーラ」や「マクドナルド」といった銘柄が増配株と呼ばれています。
配当を増やし続ける企業はキャッシュフロー(CF)が安定的に伸びていることが多いため、株価も上昇しやすい傾向にあります。
VIGは10年以上連続して増配してきた銘柄で構成されています。
1 | マイクロソフト |
2 | JPモルガン・チェース |
3 | ジョンソン&ジョンソン |
4 | ウォルマート |
5 | ビザ |
6 | ユナイテッド・ヘルスグループ |
7 | ホーム・デポ |
8 | P&G |
9 | コムキャスト |
10 | コカ・コーラ |
VIGはリーマンショックやその後の好景気を経験しながら長期に渡って安定したリターンを出してきました。
また、2012年に0.13%だったVIGの経費率は2021年には0.06%まで下がっており、現在ではより低コストで運用することができます。
VTI,SPYに加えて第三の選択肢が欲しい方はVIGも検討してみるといいかもしれません。
PayPay証券で損をしないために
ここまで「PayPay証券」で長期的に儲けるためにVTI,SPY,VIGというETFを解説してきました。
ただ儲かる方法だけを解説しても意味はないと思うので、損をしないためにはどうすればいいのか解説しておきましょう。
「PayPay証券」で損をしてしまう原因は2つあります。
- 過剰なレバレッジは避ける。
- 短期トレードをしてしまう。
「PayPay証券」では「日本株CFD」や「10倍CFD」というサービスを利用することができます。
CFDとは差金決済取引の略で、自己資本のみならず他者資本を借り入れて行う投資のことです。
一言で表すと、借金をして(レバレッジを掛けて)より多くの儲けを狙う投資方法のことです。

CFD自体はプロの投資家も利用していますし、資金を借り入れて行う投資やビジネスは世の中に無数に存在します。
問題なのは、リスクの高すぎる投資をすることで、自己資金を一瞬で失うだけでなく損失額が証拠金(自己資金)を上回る可能性もあるのです。
CFD取引は、デリバティブの対象となる株式、指数先物の変動によりCFD取引価格が変動しますので、お客様の予想と反対方向に変動することにより、損失が生じるリスクがあり、投資元本は保証されません。また、損失額が証拠金の額を上回る可能性があります。
PayPay証券より
例えば、10倍のレバレッジを掛けて投資をした場合、株価が10%上昇すると投資元本(証拠金)は2倍になりますが、10%下落すると投資元本がゼロになります。
投資元本がゼロになるだけならマシですが、例えばマーケットが12%下落すると借金を背負うことになるのです。
マーケットが急激に変動する際には、証券会社は追証といって追加の自己資金の補填を求めてきますが、非常に激しい値動きをする際には追証が間に合わない場合もあります。
そのため、基本的にはレバレッジを掛けるような信用取引やCFDは投資初心者にはオススメできません。
また数分~数か月の期間で取引をする短期トレードを繰り返すべきではないでしょう。
「PayPay証券」の手数料は日本株で0.5%/1.0%、米国株で0.5%/0.7%となっており、取引を繰り返す分ジワジワと資産が減る可能性が高いからです。
※時間帯により異なる(詳しくは下記の記事を確認)
先ほど紹介した、VTI/SPY/VIGも長期投資には向いていますが、短い期間でみると損失を出す可能性は十分にあります。
- 過度なレバレッジを掛ける。
- 短期トレードをしてしまう。
投資初心者はこの2点を避けて、VTI/SPY/VIGに投資することで長期的な儲けを狙いにいきましょう。
世界経済は人口増加と共に成長することが予想されており、今後70年間くらいはインデックス投資にとって適した環境だと言えます。
PayPay証券で儲けてきた人たち
「PayPay証券」で儲けてきた人たちを紹介したい!ところなのですが、1つ問題があります。
それは、「PayPay証券(旧:ワンタップバイ)」がサービスをスタートしたのが2016年の6月であるという点です。
そのため、30年前に投資を始めたモデルケースを用意して本当に「PayPay証券」を通じて利益を出すことができるのか見ていきたいと思います。
- 毎月3万円をVTIに投資
- 30年間資産運用を続ける

投資期間が長くなるほど、運用による利益が増えていることが分かりますね。
「PayPay証券」はサービスをスタートしてから5年しか経っていない証券会社ですが、VTIやSPY、VIGといった銘柄に1,000円から投資できるのは「PayPay証券」のみです。
ぜひ「PayPay証券」で富裕層になる第一歩を踏み出しましょう。
PayPay証券で長期的に儲けることは可能
最後まで読んでいただきありがとうございました。
「PayPay証券」では元本割れのある商品に投資するため、短期的には損失を出す可能性もありますが、長期的には資産を増やしていけることが分かったでしょうか?
資産運用においては
- 長期
- 分散
- 積立
の3つを守っていれば長期的に大きな損失を出すことはありません。
世界経済の成長とともにあなたの資産を増やしていきましょう。
よろしければ、こちらの記事も参考にしてみて下さい。
それでは、また。