有給取りすぎる社員はあり?なし?労働基準法をもとに解説

この記事を読んでいるあなたは、

  • 有給を取りすぎる社員に対して不満がある
  • 有給を取りすぎる自分はダメ社員?
  • 有給をいっぱい取っても怒られないようにするためにはどうしたらいい?

上記のように考えているかもしれません。

この記事では、そんなあなたに「有給を取りすぎる社員への対処法と、有給を取りたい社員の戦い方」をお伝えしていきます。

労働基準法における有給休暇の定義

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労働基準法における有給休暇の定義はどうなっているのでしょうか?

  • 有給を毎月取得するのは取りすぎ?全部自由に使っていい?
  • 有給はいつまでに申請すればいい?
  • 有給の取得理由は何でもいいの?
  • 会社が有給取得を断る権利「時期変更権」とは
  • 有給使いすぎを理由にクビやボーナスカットするのは法律違反?

それぞれ詳しく解説していきます。

有給を毎月取得するのは取りすぎ?全部自由に使っていい?

有給休暇は、通常は入社から6カ月後に10日付与されます。

1年間で付与される有給休暇日数は勤続年数によって増えていき、勤続6年6カ月の時点で最高取得可能数の20日に到達します。

更に、少なくとも1年間に5日以上の有給休暇を取得することが、法律によって義務化されているのです。

与えられた日数内であれば、1年間のうちどのタイミングで取得しても法律上は問題ありません

有給休暇が20日付与されている場合は、単純計算しても月に2日以上取得しないと、有給休暇を全部使うことはできないのです。

有給はいつまでに申請すればいい?

有給休暇取得の申請期日については、労働基準法では定められておりません。

会社の規定によって変動するので、自社の規定に従いましょう

一般的には前日までに申請することを期日としている企業が多いようですが、実際は「前日に言われても……」と思われる会社は多いでしょう。

急病などで有給を使う場合は仕方がありませんが、前もって予定が決まっている場合は早めに申請することをおすすめします。

有給の取得理由は何でもいいの?

労働基準法では、有給休暇の取得理由について定められている項目はありません。

会社によっては休暇取得の申請フォーマットに取得理由も記載するようになっていることもありますが、実際は取得理由を聞く権利すらもないのです。

理由によって有給取得の申請を拒否した場合は、労働基準法に違反している可能性もあるので注意が必要です。

会社が有給取得を断る権利「時期変更権」とは

労働基準法には、会社が社員からの有給取得申請を断る権利として「時期変更権」を定めております。

時期変更権とは、「事業の正常な運営を妨げる場合」に有給取得の時期を変更するように、社員に対して求めることができる権利です。

ただし時季変更権を行使するには、会社側も「十分な人員を確保する」など、有給休暇を円滑に取得させるための取り組みをする必要があります。

何の取り組まずに、時季変更権を行使することはできませんので注意しましょう。

有給使いすぎを理由にクビやボーナスカットするのは法律違反?

有給を使いすぎていることを理由に、クビやボーナスカットなどの制裁を与えることは許されません。

なぜなら、有給は会社が労働者に対して与えているものではなく、国が労働基準法の要件を満たした労働者に対して与えている権利だからです。

有給使いすぎを理由に、評価を下げるなど労働条件面で不利益になるような罰則や制裁を与えることは、労働基準法に反していることになります。

有給を取りすぎる社員が与える会社への迷惑

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与えられた日数内なら自由で取得できるとはいえ、有給を取りすぎる社員が会社に迷惑を掛けている場合もあります。

  • 繁忙期に休む
  • 仕事の引継ぎがされていない
  • 上司にしか伝えていない
  • 直前に申請して休む

それぞれ詳しく解説していきます。

繁忙期に休む

会社によって、繁忙期といわれる時期がそれぞれあるはずです。

会社のみならず、取引先を含めた業界全体が繁忙期となる場合もあるでしょう。

いくら自由に取得していいとはいえ、繁忙期に人材が欠けることは、会社にとっても大きな痛手となります。

日程をずらせるものならずらした方が賢明だといえるでしょう。

仕事の引継ぎがされていない

有給を取得する際に、仕事の引継ぎをしないまま休んでしまうと、同僚や取引先に多大な迷惑を掛けてしまいます

場合によっては休んだ本人しか把握していない部分があり、休暇中の社員に電話をかけざるをえなくなってしまうことも…。

そうなってしまっては、お互いに嫌な気分になるでしょう。

ほとんどの会社は、有給を取得する本人の代わりに誰かが業務を引き継いでこなしていくはずです。

円滑に業務を回していくためにも、有給取得前の仕事の引継ぎはしっかりしておく必要があります。

上司にしか伝えていない

有給休暇の申請は直属の上司に出すことが通常ですが、上司にしか伝えていないとなると多方面に迷惑を掛けてしまう可能性があります。

同じ部署の社員や後輩社員、場合によっては取引先にも伝えておく必要があるでしょう。

同僚

え?〇〇さん今日いないの?

有給取得を上司にしか伝えていないと、社内で上記のようなセリフが飛び交うかもしれません。

業務に遅れが出てしまうことも考えられるので、有給取得する際は関わる方に周知しておいた方がいいでしょう。

直前に申請して休む

いくら規定では申請期日が前日までになっているとはいえ、「明日から有給いただきます」といわれても残される同僚は大変な思いをするでしょう。

会社の規定で申請期日が前日までになっているのは、急病や事故などに対応することを考慮している場合が多いです。

前もって休むことがわかっている場合は、ある程度前もって伝えておき、自分が休みの間も業務が円滑に回せるように下準備を進めていくことが同僚へのマナーだといえるでしょう。

有給を取りすぎても大丈夫な社員になる方法

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与えられた日数内であり、業務に支障をきたさないよう準備をしておけば有給を取っても問題はないはずです。

また、日常の勤務態度や同僚・上司への接し方で信頼を獲得することで、有給を取りすぎても反感を買わないことに繋がります。

  • 有給は権利!という態度をとらない
  • 休むための前準備をしておく
  • 休み明けに感謝を伝える
  • 仕事を覚える・仕事ができる社員になる

それぞれ詳しく解説していきます。

有給は権利!という態度をとらない

有給は確かに労働者が有する権利ですが、それを主張するような態度を取ることは自分の首を絞めることに繋がります。

権利の裏側には義務があり、義務を果たしてこそ権利を与えられます

同僚と適切なコミュニケーションを取ることや、会社の業務に尽力し事業を前進させながら社会貢献していくことは、社会人の義務だといえるでしょう。

義務をないがしろにして、権利ばかりを主張すると同僚から反感を買ってしまう恐れがあります。

有給が労働者の権利であることは、主張せずとも誰もが知っていることです。

声高に主張することで、デメリットを被る可能性があることを理解しておきましょう。

休むための前準備をしておく

有給を取りまくっても大丈夫な状態を作るには、休むための前準備をしておくことが大切です。

誰かが有給を取るということは、他の誰かが業務をサポートしてくれることになります。

サポートしてくれる同僚に負担をかけないように、引継ぎをしっかりしておく・できる範囲まで業務を進めておくなどの前準備をしておきましょう。

休み明けに感謝を伝える

有給休暇を使って羽を休めたあとは、休み明けの出勤時に同僚に感謝を伝えることが大切です。

休暇中は普段あなたがしているはずの業務を、同僚達がカバーしながら業務を回してくれています。

それを当たりまえだと捉えていると感謝の気持ちや言葉は出てきません

ありがたいことだと受け止めて、感謝の気持ちを声に出して伝えてあげた方がよいでしょう。

感謝を伝えられる人は信頼を勝ち取り、感謝を伝えない人は信頼を失っていくのです。

仕事を覚える・仕事ができる社員になる

有給を頻繁に取得しても同僚や上司から蔑まれないようになるためには、仕事を覚えて仕事ができる社員になることも大切です。

同僚
〇〇さんは普段から頑張ってるしな

このように反感を買わずに、快くあなたの業務を請け負ってくれるようになるかもしれません。

普段から仕事に真面目に向き合うことで、有給も罪悪感なく取得できるようにはるはずです。

有給を取りすぎる社員に困っている上司がとるべき対処法

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普段の仕事に対する向きあい方が思わしくないうえに、有給を取りすぎる社員に困っている上司もいるでしょう。

そんな上司や経営者がとるべき対処法を解説します。

  • 有給を取得できる環境をつくる
  • 本人と面談する時間をとる
  • 退職勧奨を進めるのもあり。しかしパワハラには注意

それぞれ詳しく解説していきます。

有給を取得できる環境をつくる

社員が安心して有給取得できる環境が整っているかどうか、職場環境を見直してみましょう。

人員が不足しているなら人員を確保する、特定の誰かしかできない業務があれば複数人ができるように教育するなど、職場環境を整えることが大切です。

職場環境を整えようとする姿勢をみせることで、同僚へ迷惑がかかることを考えずに有給を取得している社員も、自身の問題点に気づくかもしれません

本人と面談する時間をとる

本人と面談する時間をとり、本音を伝えることも大切です。

労働環境の現状の説明や、本人が有給を取っている間の現場の実情など、しっかり説明する必要があるのです。

現場の現状を客観的に知ることで、自身のそれまでの勤務態度をかえりみるきっかけにもなります。

また、現状を改善しようと努力をしていることを伝えることや、本人が普段考えていることを聞いてあげてガス抜きしてあげることも大切です。

面談する時間をとって、落ち着いて話す場を設けましょう。

退職勧奨を進めるのもあり。しかしパワハラには注意

会社としてやれることはやり尽くして、それでも本人が改心する様子もない。

また、その人1人のために職場全体の雰囲気が悪くなってしまうのであれば、本人が自主退職するよう退職勧奨を進めるのもありでしょう。

退職勧奨には、双方の合意が必須です。

これまで再三注意を促してきたが改善されなかった、という実績が必要になります。

労働者側も、自身に問題があることを自覚している必要があるのです。

退職勧奨を進める際に、退職を強要するような発言などをしてしまうと、パワハラになってしまうので注意が必要です。

有給取りすぎる社員はあり?なし?まとめ

有給休暇は、労働基準法で定められた労働者の権利です。

会社には、労働者に対して有給を付与する義務があります。

付与された日数内であればいかなる理由でいかなるタイミングで取得しても、法律上は問題ありません。

しかし、会社は労働基準法だけではなく、人間関係のうえで成り立っています

労働者は権利ばかりを主張せず、会社や同僚に対して良好な人間関係を気づきながら、事業に貢献しようとする姿勢が大切です。

有給を取りすぎる社員に困っている上司は、まずは職場の環境に不備がないか考え直してみましょう。

そのうえで本人と向き合い、お互いが改善に向かって歩み寄ることが大切です。